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パワーレンジャー(吹き替え)感想

夏に観た映画で公開も終了しているが、いまさらパワーレンジャーの感想を書いてみる。

※後半一部ネタバレあり。ネタバレ部分は注意書き以降となります。

 

洋画を見る際に、字幕で見るか、吹き替えで見るか、という問題があるが、映画初心者の私はひとまずは字幕で見るようにしている。

私は英語力が全くないので、字幕化による言語的ニュアンスの変化は感じ取ることはできない。しかし、声音など役者さんのそのままの演技を感じたいので字幕で観ている。

ただし、これは実写に限った話であり、ズートピアやレゴバットマンなどのアニメーションは吹き替えで観ている。映像として演者が演技してないのであれば、英語力皆無の私が字幕で観る理由は特にない。そこはプロの日本の声優さんにお任せした方がよいという判断だ(必ずしもプロの声優の方が声を当てるわけではないが)。

 

さて、表題のパワーレンジャーであるが、実写であるにもかかわらず私は吹き替え版を観た。

理由は3つ。

1.ヒーローものは三次元というよりは、アニメーション寄りのものであると考えるから

2.そもそもパワーレンジャーは日本の特撮を米国に輸入したことからの派生作品であるので、日本語で観るのが妥当な気がしたこと

3.映画好きクラスタで声優に詳しくない方が、杉田智和氏の演技を絶賛していたこと

である。

 

ぶっちゃけると、3が最大の理由である。

そもそもがオタクの私ではあるが、最近のアニメには疎く、従って最近の声優さんのお名前も声も一致しない。そんな私でも杉田智和氏は名前も顔も声もキャラクターも存じ上げている数少ない最近の声優さんである(中堅の声優さんを取り上げて「最近の」というのもなんだが、私は年寄りなので勘弁していただきたい)。

杉田氏といえば、有名なところで言うと、銀魂の銀さん・涼宮ハルヒの憂鬱キョンだろうか。特撮・ロボアニメクラスタとしては、仮面ライダーキバキバット翠星のガルガンティアチェインバーである。

 

杉田智和氏については、クール系のキャラ、ギャグ系のキャラ、ロボット音声、あるいは「ただの杉田」と言われるどこまでアドリブなのか解らない演技に定評がある…というのが私個人のイメージである。

しかし、パワーレンジャー杉田智和氏は、私の知らない杉田智和であった。

 

パワーレンジャーは日本の戦隊ものに倣い、5人のキャラクターが変身して闘う映画である。

だが、変身して闘う描写は後半の1~2割程度だ。

パワーレンジャーはそれぞれの事情を抱えた個性的なティーンの男女5人の友情と成長の物語が主軸に置かれている。

その個性的な5人のキャラクターを以下に挙げる。

・アメフトの選手として街を上げて応援されていたが、怪我や様々な理由で落ちこぼれたリーダー

・とある理由でその座を追われた元チアリーダーの女性

自閉症スペクトラムで多弁で陽気、気弱でいじめられやすい黒人の青年

不登校ではみ出し者の東洋系の青年

・転校生で他者との関わりを嫌う女性

彼らは同じ補習クラスの所属であり、一部の不登校児はクラスではなく、パワーレンジャーになるきっかけとなる場所で出会うことになる。

 

さて、杉田智和氏が演じたのはどのキャラクターか。

前段の私の記述から察したこととは思うが、黒人の青年が正解である。

これが、大変にかわいらしいキャラクターであり、「杉田さんこんなかわいい声出せるんだ」などと失礼なことを思ってしまった。というか、私は最初の一言では杉田智和氏であることに気づかなかった。ハイテンションで無邪気で愛くるしい。声のトーンは普段の杉田氏より数段高いが、おふざけして高い声を出しているときの杉田氏ではない、と思う。別に私は杉田氏の全てを知っているわけではないので、間違っているかもしれないが、少なくとも演技は最高である。

そんな感じで、「いつもの杉田」などと揶揄している層は是非とも吹き替えのパワーレンジャーを観ていただきたい。最高の杉田智和がそこにいる。

元々嫌いではなかったが、いまやすっかりファンである。最高。杉田最高。

 

※ここからネタバレありです。杉田氏のこととは離れます。

 

 

 

 

パワーレンジャーのメンバーは実に個性的であり、それぞれがそれぞれの問題を抱えている。彼らの青春物語、友情物語として、かなり上質なアメリカ映画だと私は思った。

訓練を通じて、対立したり、和解したりしながら友情をはぐくむ彼ら、そして自身の問題に向き合う彼らに心が動かされた。

 

特に女性陣2人は話が進むにつれ、意外な過去や事情が発覚する。

ヒロイン格の元チアリーダーの女性は、実はチームメイトにリベンジポルノを働き、その結果チームメイトからいじめを受け、自身も自分の行為を悔いていた。

そして孤高の転校生はレズビアンであり、かつ自身の家庭はそれを受け入れてくれるような雰囲気ではなく、誰にも打ち明けられず、相談することもできずに、自身の悩みを隠している。

 

実はこれらの事情は直接的に語られているわけではなく、物語の主軸になっているわけでもない。比較的さらりと流されており、戦隊モノだということで劇場に連れられてきたこどもたちが理解できるしろものではない。もしかしたら、大人でも全てを理解せずに、ただただ青春友情物語として処理して劇場を後にした人もいるかもしれない。

しかし、例えそうだとしても、パワーレンジャーの魅力は大筋では青春友情物語だと思うので、その部分をスルーしても差し支えないとも思う。

ただ、そのあたりの事情を加味した上で観るとさらに深みが増す映画でもあるのだ。

 

またとりとめのない文章になってしまったが、パワーレンジャー吹き替え、個人的におすすめである。

アクションや戦闘を期待しすぎると肩すかしをくらうので、その点は了承のうえ、鑑賞して欲しい。